画期的な現代の土鍋“かまどさん”の作り手伊賀焼・長谷製陶
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写真/齋藤ジン 取材・文/稲葉友子 |
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長谷園7代目当主●長谷優磁1939年、三重県阿山郡阿山町丸柱に生まれる。法政大学に入学。1965年に長谷製陶株式会社に入社し、商品開発を担当する。6代目社長の急逝により、1976年、7代目当主に就任。「作り手こそ真の使い手であれ!」を工房訓に掲げ、時代のニーズにあった陶器作りを行う。多何子夫人との間に設けた4人の子どもと孫たちに慕われる長谷家の家長。 |
「日本の伝統産業が廃れていくなかで、江戸時代より続く長谷園の7代目を継承したとき、先人が見つけた伊賀の土という財産を使って自分に何ができるかを考えました。伝統である茶陶は守り続けていく。それと並行して、それまでは主に料亭で使われていた調理器具や器を、広く一般の家庭にも広めていきたいと思いました」。 ひと昔前にはどの家庭でも当たり前に見られた、竈炊きのご飯。そのおいしさをよく知る7代目が、熱源が薪からガスに変わった現代のライフスタイルのなかで「あの味を再現できないか」と閃いたことが、“かまどさん”作りの発端にある。 「まずは、火に強く、冷めにくく、吸水性が良いという優れた性質を持つ伊賀の土を調合することから始めました。完成までに何千という数を作って、女房とふたりして1日に何回ご飯を炊いたか(笑)。それを職人らと味見して、という繰り返しです。不完全なものを売るわけにはいかないと、一切妥協は許しませんでした」 試作の過程で困難を極めたのは、火加減なしでご飯を炊き上げること。1996年に着手してから3年半あまりかかってようやく完成。かつて親しまれた、ご飯を炊く竈を呼ぶ愛称から名前をとって“かまどさん”という名で世に送り出すこととなった。 今でこそ、その存在は広く世に知られるが、2000年に発売してからしばらくは、長谷製陶の代表取締役社長となった康弘さんをはじめ、東京を拠点に活動していた長女の章代さんが営業を続け、その普及に奔走した。状況が一転したのは、あるテレビ番組で料理研究家によって紹介されてから。以後、次々とTVや雑誌などで取り上げられるようになり、伊賀焼や“かまどさん”以外の商品にも目が向けられるようになったという。 自他ともに認める“アイデアマン”であり、現在も並行して10品近い新商品の開発に取り組む7代目は、今後もユニークで便利な商品を私たちの食卓に届けてくれるに違いない。 |
かまどさん誕生の地『伊賀焼の郷 長谷園』
江戸時代末期の天保3年(1832年)、現在の三重県伊賀市丸柱に築窯。敷地には、16連房の旧登り窯や大正時代の旧事務所(現在は『大正館』という名の休憩コーナー)が残り、往時の雰囲気を今にとどめる。その他、3つの展示室や体験工房、展望台、築200年余りの屋敷にて長谷園の器で供する創作料理店『なが谷 母や』を併設。毎年5月には窯出し市も。 伊賀焼の郷 長谷園三重県伊賀市丸柱569 |
東京のアンテナショップ 『イガモノ東京店』
“食卓は遊びの広場だ”をコンセプトに、長谷園の各種土鍋をはじめ、飯碗や取り皿、小鉢や酒器などあらゆる焼き物を展示、販売する長谷製陶�の直営店。30坪ほどの店内には、伊賀から届く季節の花やグリーンが飾られる。月に2、3度は“かまどさん”実演会を実施。商品の全国配送も承る。最寄りはJR恵比寿駅、東口ロータリーより徒歩約2分。 イガモノ東京店東京都渋谷区恵比寿1-22-27 |