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Kanon投稿

 

Kanon投稿入選作 2008年9月20日 第25回 テーマ『喜び』

毎月、WEB投稿作品の中から選んだ作品を、『Kanon』お勧め作品としてHP上で発表いたします。
大賞1名 特選3名 佳作10名には、『Kanon』編集部からステキなプレゼントをご用意しております。
※今月は、歌人・朝倉富士子氏が選者を務めています。

大賞
喜びの裏に隠れた玉の汗
(川柳)愛知県・永楽

特選
背もたれのない丸椅子を選んだ日あけたピアスに夏が振り向く
(短歌)東京都・浅海美香

特選
恙なき嫁装束や鰯雲
(俳句)兵庫県・松下弘美

特選
「Joy」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる

「Joy」

伝える言葉も無く
黙り込んだ。

淋しさに心を
溶かされそうになる。

下を向いていると
涙がこぼれて

顔を上げると
君と目が合った。

泣くなよ。困った顔で言われて
もっと泣ける。

気付けば夕陽が
あんまりきれいで、

離れることこそが
君の幸せなんだと分かって

涙は止まった。笑って言う。
行ってらっしゃい。

(詩)山口県・渡部雅美

佳作
夏の午後球打つ音と歓声がかすかに聞こえまどろみ誘う
(短歌)神奈川県・岡田弘子

佳作
携帯で映せなかった夕暮れと遠くで霞む天の羽衣
(短歌)北海道・水恋あかり

佳作
花占いしている君のその横で僕は花びらそっと加える
(短歌)東京都・明け鳥

佳作
紫陽花や長靴履く子を追ひかけり
(俳句)埼玉県・大野慰子

佳作
放たれた犬がおどりし秋の川
(俳句)北海道・工藤光吉

佳作
鎮守の灯暗く点して里の秋
(俳句)埼玉県・西川正則

佳作
受話器から変わらぬ母の国訛り
(川柳)愛知県・小原久美子

佳作
頑張れるよろこぶ君が見たいから
(川柳)東京都・夢久乃音

佳作
喜寿という人生を得るこの町で
(川柳)福井県・のんです

佳作
「君を初めて抱いた夜・・・」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる

「君を初めて抱いた夜・・・」

いまかいまかと待ちわびて
ようやく出逢えた その時に

羽化したばかりの妖精は
僕のぎこちない左腕のベッドへ
静かに滑り込んできた

3000グラムの微(かす)かな鼓動に
僕は自分の呼吸を重ねてみる

つぶらな眼(まなこ)は微睡(まどろ)みながら
僕という存在を確かめようと躍起だった

やがて ただ漠然と
「父」という言葉を思い浮かべる 僕・・・

看護婦さんが少し遠くから
にんまりとした僕をみて微笑んでいた

たった
180秒間の逢瀬だというのに

君を初めて抱いた夜(よ)は
喜びや希望も抱きしめていたんだ
ぎこちなく・・・

(詩)神奈川県・ミチタリル

選者からのコメント

「喜び」はプラスの感情です。そして、その言葉のなかには、ものがたりがいっぱいつまっています。これからも、あなたの心をまっすぐに言の葉に乗せて、すてきな川柳・俳句・詩・短歌を見せてください。楽しみに待っております。

朝倉富士子●あさくら ふじこ

1935年生まれ。福島県出身。1966年歌と観照社に入社。1972年、歌と観照賞受賞。1988年、岡山巌賞受賞。歌と観照選者、きびたき編集委員、福島県歌人会常任委員、柴舟会会員、日本歌人クラブ会員。1997年第一歌集『天の鈴』平成8年度日本歌人クラブ東北ブロック優良歌集賞受賞。2000年より、山形県米澤新聞『米新歌壇』選者。沙羅の会・麻の実塾指導、松川短歌会講師。