Kanon投稿
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Kanon投稿入選作 2009年5月25日
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大賞 |
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| グランドに両手をついて構えればスタートラインの白の眩しさ | (短歌)京都府・麻倉遥 |
| 一読、くっきりと印象深く、作者の姿が見えてきます。難しい言葉は何もない。だが、下句の『スタートラインの白の眩しさ』は、実に新鮮な趣があり、きわだって上質な表現であった。『グランドに両手をついて』の上句は、飛び出す・走る・汗・早い呼吸・躍動する四肢などを想像させる美しい緊張の始まりの踞み(こごみ)なのです。明るい季節の中で“走る”人間の姿は美しく感動を呼ぶのです。人生に立ちむかう決意にも重なる読みを可能にした佳さ。 | |
特選 |
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| 燕の子武者震いして巣立つ朝 | (俳句)京都府・伊三 |
| すっきりと気持ちの良い句。巣立ち…嬉しい期待のとき。幼い燕ももう旅立たねばならない。ぬくとい巣から飛び立つ心の昂りが、羽ばたきとなり、せまい巣が少し動いたのか、武者震いしてと観察した作者の観賞眼は確かです。見守る目も心もさわやかで、清々しく、佳句の切れ味が生きています。 | |
特選 |
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| 花吹雪めがけて通る車いす | (川柳)北海道・福助 |
| ハッとしました。中句『めがけて通る』それも車いすで…今を盛りと散り急ぐさくらの中を…です。この呼吸のストレートさが快い。今年の春も、沢山の人々の上に桜の花が動き、歓声と昂りと、その余韻が感動的でしたね。自分自身が意志を持って踏み出した時。季節の美しさにも出逢える。その勇気を思わせてくれた良質の作品に拍手! | |
特選 |
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| 「ことばの花」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)神奈川県・朝顔 |
「ことばの花」誰かの話にじっと耳を傾けたり |
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『ことばの花』って何だろう。若い作者の内省は、ひそやかに落ち着いて、9行の詩となった。耳を傾ける・本を読む・歌う…そんな独りの行動からふつふつと湧く感動のなかに発見したのは『ことばの花』。自分と共にある“ことば”、それも、やさしい“ことば”こそを花と言えた作者です。もう大丈夫。自分の人生の花の道を探してゆきましょう。 |
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佳作 |
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| 夏隣ポストにはがき11枚 | (俳句)山梨県・にむら浩美 |
| なんとイメージを広げてくれる一句でしょう! 『夏隣』は晩春のことですね。この季節に貴方は11枚ものハガキを出された。どんな人にどんなことばを…。いろんな想像をさせてくれる不思議な感じがとてもステキです。 | |
佳作 |
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| おにぎりに五月の風を巻いて食べ | (川柳)神奈川県・つゆ草 |
| 5月の風のかぐわしさ。おにぎり持参の野行き・山行きでなくても、わが庭先ででも明るい季節の風は食欲を増してくれる! やわらかな貴方の感性が、とても上品な川柳一句を創り出しました。身近な食を取り上げて佳。 | |
佳作 |
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| 鶯の鳴き競いいる里山に森林浴の落ち葉踏み行く | (短歌)大阪府・阪井満 |
| 森林浴のできる里山に入ってゆく作者。鶯の声がさかんに聞こえてくる。少ししめっているような落葉の踏み具合もちょうど良いのでしょう。そんな音さえも聞こえてくる素直な表現が佳かった。心の弾みが明るく伝わる。 | |
佳作 |
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| 花筏太平洋に出るつもり | (俳句)鹿児島県・九万田一海 |
| 一海さん! 上出来の一句です。結句『出るつもり』が発見ですね。洋々たる海を目指す花筏は、何よりも見事な春の賜物でした。そこまで大胆に発想が動いた自在心は、やはり人生を長く生きてこられた人への特典かもネ。 | |
佳作 |
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| 「風の子」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)秋田県・GG |
「風の子」そろそろ風の子が来る |
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| 『風の子』の擬人化がよかった! 足音・足跡・息吹きがザワザワ・サラサラ・そろそろなどのオノマトペを伴って、五感に伝わってくるところが佳い。やさしい春の訪れです。私たちは元気にまた前へと進めるでしょう。 | |
佳作 |
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| 海までの下り坂行く自転車の後ろに春の子どもを乗せて | (短歌)東京都・林 由実 |
| 初句『海までの』から一気に降ってゆくスピード感がとても透明でした。自転車の後ろに乗っていたのは“春の子ども”だったのですね。実態のある無しを越えて、雰囲気の良さが出ておりました。短歌には必須の透明感覚です。 | |
佳作 |
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| 万歩計零に戻して古希の意気 | (川柳)三重県・大川 勲 |
| 万歩計を零に戻すとは…何とお元気な! うらやましい限り。『古希の意気』の“き”のリフレイン効果もあって、“き”の効いた一句となりました。いよいよ人生の達人を目指し、言葉を道ずれにもう一歩進んで参りましょうか。 | |
佳作 |
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| 桜咲く平和通りという戦後 | (俳句)茨城県・渡辺郊邑 |
| 日本人と桜。毎年のことながら不思議に人生を重ねて思わせられる国民的“さ・く・ら”なのです。作者の戦後は平和通りと言えるものながら、桜になぞらえられて散っていった人々の戦後でもありましょう。深い一句です。 | |
佳作 |
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| 放課後はミントのアイス溶かしつつ意中の人の話に弾む | (短歌)神奈川県・ぽっちり |
| 何と初々しい! 10代の乙女達の明るく弾む声が聞こえてきます。ミントのアイスが平和で一番美しい人生の季節を思わせてくれます。意中の人の話に弾む放課後のひと時を大切にしてくださいね。素直で佳い一首でした。 | |
佳作 |
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| 「無題」 >>『詩』作品を表示する>>『詩』作品を閉じる | (詩)北海道・ちえこ笑 |
「無題」足踏みしていた |
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| 強くなれ! もっと…。愛すべき私。詩の最後のフレーズに貴方が居りました。自愛の心はとても大切です。言い訳をしていても、どうにもならないのが人生ですから…。自分自身に贈るすてきな詩ができてよかった―。 | |
今回入選された方々の作品からは、すてきな風が吹いて参りました。その風からは、佳い匂いや素直な感動からの震えやらが、この時の一期一会への感激とか、5・6月を移りゆく自然界の色彩が醸す雰囲気の投影として活き活きと伝わって参りました。とても嬉しかった。思わず、評にも力が入りました。皆さんの心に近くいる“わたくし”を感じることもしばしばあり、言霊を思っているところです。また佳い作品を見せてください。待っています。
1935年生まれ。福島県出身。1966年歌と観照社に入社。1972年、歌と観照賞受賞。1988年、岡山巌賞受賞。『歌と観照』選者、『きびたき』選者、山形県米澤新聞『米新歌壇』選者。福島県歌人会常任委員、柴舟会会員、日本歌人クラブ会員。1997年第一歌集『天の鈴』平成8年度日本歌人クラブ東北ブロック優良歌集賞受賞。著書:歌集『天の鈴』『里の木ものがたり』『日待ち月待ち』『愛しきものの詩』他、古典随想集『今も昔も』他。